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- 『もしも…』の時に備えて
多くの飼い主さんは、「もしもワンちゃんが病気になった時…」「もしもワンちゃんが迷子になった時」「もしもワンちゃんが他の方に迷惑を掛けてしまった時…」など、ワンちゃんが何かをした、ワンちゃんに何かが起きた、その時どうするか! そうならなように前もって何をすべきか!! などは考えていると思います。
例えば・・・
- 迷子になった時のために、鑑札や迷子札、マイクロチップなどをつけている
- 健康のために、しっかりとした栄養管理や運動をしている
- 毎年健康チェックを受けている
- トラブルを避けるためにも、しっかりしつけをしている
など、色々な対策をしていると思います。
犬を1頭飼うということには、様々な責任が伴います。上に挙げた例は、あくまでも飼い主さんとワンちゃんが一緒に生活している状況で、飼い主さんが果たさなければならない義務や責任ということになります。
ここで皆さん、ちょっと考えてみてください。
「あなたに何かが起きた時、ワンちゃんはどうなるのでしょうか?」
「何か事前に対策を考えていますか?」
飼い主さんに何かが起きた時、ワンちゃんはどうすれば良いのでしょうか? ワンちゃんは1人で判断し、対応することはできません。飼い主さんの判断と対応が必要になるのです。このような状況を考えたことがありますか? また、
『自分たちは絶対に、犬たちよりは先に逝かない』
『絶対に、犬たちが虹の橋を渡るのを見送ってから逝く』
と断言できる方はいらっしゃいますか? もしくは、
『やむにやまれる事情があっても、他人からの援助が必要になった時でも、
どんな状況になったとしても、絶対に犬を手放すことはない』
と言えますか? 仮にそうすることで、犬が幸せになれる選択を奪ったとしても...
すごく厳しい、飼い主さんにとっては理不尽な響きに聞こえるかもしれません。あえて厳しい質問を投げ掛けてみました。皆さん、この問い掛けにどう答えるでしょうか?
「自分はまだ若いし、絶対にそんなことは起きない!」
と断言される方もいるでしょう
「高齢になってきたけど、ワンちゃんのために、毎日健康に気を使って過ごしているので問題ない!!」
と答える方もいるでしょう
可能性を考えれば、高齢の飼い主さんの方が、若い飼い主さんより、こういった状況に直面する可能性は高いのではないかと思います。ただ、年齢にかかわらず、どなたにも『もしも…』は起こりえるのではないでしょうか? 私自身、『自分にはそんなこと絶対に起こるはずがない!』と、断言することはできません。
- 高齢者の飼い主さんが1人でペットを飼われていて、その子を残して亡くなってしまった
- 入院しなければならなくなったが、ペットがいるので入院できない
- 1人では生活が困難になり介護施設に入所しなければならなくなったが、ペットを連れていくことができず困っている
- 飼い主さんが認知症になりペットのお世話ができない状態になってしまった
- 飼い主さんが体力的にもペットの飼育が困難になっているが、ペットを手放したくない
しかしペットはストレスを抱えて、介護ヘルパーさんをはじめ、訪問客に攻撃的になり困っている
これらは、実際に渡辺さんから聞いた話や相談された事例、私が直接相談を受けた内容です。ここでは「飼い主の高齢化」の問題として書きましたが、飼い主さんが高齢でなくても、一人暮らしの方、万が一の時に犬を託せる相手がいらっしゃらない方など、同じような状況になる可能性はあるのではないでしょうか? 逆に高齢者の方でも、元気溌剌としていて、しっかり万が一の備えができている方であれば、こういう問題とは無縁の方もいらっしゃるでしょう。なので、これらの問題は、「高齢者とペットの問題だ」と考えずに、自分に、自分たちに『もしも・・・』があった時の備えとして考えてもらいたいと思います。
中央にいるワンちゃんは、飼い主さんとお別れをした後、掛かりつけの動物病院で余生を過ごしました
時々、パピーちゃんたちを指導してくれる、良き先輩として活躍してくれました
犬が健康で飢えることなく、不必要な苦痛や多大なストレスもなく、
穏やかにその犬生を閉じれるように最善を尽くす、最善の道を見つけることが、
飼い主としての責任ではないでしょうか
そして、そうなった時、
多くの方から援助の手が差し伸べられるようなワンちゃんに育て上げることが、
日々の飼い主としての責任ではないでしょうか
そうなることを見越して育てましょう!ということではありません。当たり前の日常の中で、しっかりとしたしつけを行っていれば、『もしも…』の時に、多くの選択肢の中から最良の1つをワンちゃんが選べる状態にしてあげることができるのです。飼い主さんしか触ることのできないワンちゃんでは、新しい飼い主さんはもちろん、一時的に保護をしてくれる方さえも探すのが難しくなることでしょう。問題行動がああり、それに向き合ってこなければ、さらに難しい状況になってしまいます。「自分さえ我慢すれば…」と考えるのではなく、しっかりと問題に向き合い、早めに対応をしてください。そうすることで、ご自身とワンちゃんの生活がより良くなるでしょうし、『もしも…』の時にその対応がワンちゃんを救うことになるのです。
いつも、いつまでも、どこででも、ノンビリ過ごして欲しいですよね
ペットを飼うということは、1つの命に対する責任を持つということです。ペットとの暮らしは、安易に始められることではありません。だからこそ飼う前に、想像してみてください。
- 時には自分の時間より、その子を優先してあげなければならないことがあると思います
- それでも、その子と共に時間を過ごすことが、あなたはできますか?
- 人と暮らすためのルール、そして犬としてのルールも教えなければ、その子はわかりません
- その子に人と暮らすルール、犬のルールを教える、努力する時間が、あなたにありますか?
- 犬との暮らしは、思いの外、お金がかかります
- その子を経済的に支えていくことが、あなたはできますか?
- 犬と共に過ごすことは、楽しいこともあれば、大変で、イライラすることもあるでしょう
それでも、その子の最期の時まで責任をもって一緒に暮らすことが、あなたはできますか?
正直、子犬との生活は、高齢者にとっては負担が大きいと思います。もちろん、それは子犬にとっても!、です。とにかく、遊びたい! 走りたい! 注目してもらいたい! な年頃の子犬には、精神的にも肉体的にも24時間振り回されっぱなしになるかもしれません。
そしてもう1つ。今の年齢では無理なく生活できたとしても、10年後は? 15年後は?? 考えてみてください。犬に流れる時間は、自分たちにも流れていくのです。
ペットとの生活は、飼い主さんの健康や生活にポジティブな影響があると思います。これは科学的にも証明されていることです。しかし、それは “人にとっては” です。一緒に過ごす “ペットにとっては” どうなのでしょうか? そこを考えてください。“人もペットも” お互いにとって良い影響がある、そういう生活を目指してください。
イギリスでのコミュニケーションレッスンの様子
高齢の飼い主さんたちもワンちゃんのために、毎回、参加されていました
日本には、「子犬でなければ懐かない…」とか、「犬を飼うなら子犬からじゃないと意味がない…」といった、いわゆる子犬神話があります。しかし、実際はそんなことはありません。子犬には子犬の良さがあるように、成犬には成犬の、シニア犬にはシニア犬の良さがあります。
シニア犬との時間は、本当に穏やかに流れていきます。そして、なぜかどんな姿を見ても、ニヤニヤというか、ニマニマしてしまいます(って、私だけでしょうか?! 賛同者求む! 笑)。もちろん、お別れを考えると寂しくなってしましますが、それが見えているからこそ、一緒にいられる1日、1日を、何気ない時間を、大切に過ごそうと思えてきます。その充実感は子犬との生活では得られない、シニア犬と過ごすことでもらえる“ギフト”だと思います。
最後に、『もしも…』の時の備えとして、かわさき犬・猫愛護ボランティアが制作したリーフレットを紹介したいと思います。このリーフレットには、「残されるペットのために、これらの情報を残しておいてください」という項目が記入できるようになっています。これらが全てではありません。「最低限、これだけの情報が必要です」 ということです。皆さん参考にしてみてください。
- かわさき高齢者とペットの研究会 渡辺代表より転載・ダウンロードの許可をいただきました
- PDFはダウンロードしてお使いください / 転載・直リンク厳禁
- リーフレットの設置・配布など、リーフレットに関わる問合せは、リーフレット内に書かれているアドレスに問合せください
お急ぎの方は、渡辺代表に連絡していただければと思います
( 連絡先:QRコードを読み取ってください )