繰り返しになりますが、犬の行動は一見複雑そうに見えて、その大半はシンプルです。もちろん、犬の行動を『犬』として捉えた場合です。そして、ココが皆さんの間違えがちなところです。
まず、ココを押さえてください。
- 犬は犬であって犬でしかないので、犬として行動しています
- 人間とは違う理解の仕方をし、人間とは違う反応(=行動)をします
犬は人間の様に“建て前と本音” や“裏事情?!”(=飼い主さん同士の関係&飼い主さん以外の人と犬の関係)を考慮して反応しているわけではありません。好きなものは好きだし、嫌いなものは嫌いなのです。犬は感情をストレートに表現しています。また、犬は一度得た『特権』はいつでも、どこでも、誰に対しても通用する、通用すべきだ!!と考えています。通用しない場合には、その人物はそのリストから外れる(=その件に関しては用無し!)ということです。例えば、いつもお裾分けをくれる人はお裾分けリストの上位に載っていますが、くれない人はお裾分けリストのランク外になるので、その時間は傍に行く必要がない・・・と判断するわけです。至ってシンプルな結論です。
そしてもう1つ。
- 本やテレビなどの情報に振り回されずに、アナタのワンちゃんがどういった行動をとっているかをまずは観察してください
- アナタのワンちゃんの性格を考えてみてください
- ご自身の行動、対応の仕方を振り返ってみてください
本やテレビなどで紹介されていることは、あくまでも「多くの犬がこういう行動をとります」という意味です。多くの犬とはどれくらいのパーセンテージなのか? という疑問や、飼育環境はどうなっているのか? 生育歴は? など様々な相違点が出てくるはずです。ですから、あくまでも紹介されていることは平均的なことであって、アナタのワンちゃんに全てが当てはまるはずがないのです。
例えばウチのひなさんは、我が家に来た当初は “1人にされること” に不安を感じていました。ケージなどに入っていれば問題ないのですが、かといって私がトイレに行く、お風呂に入るなど日常生活で頻繁に起こることの度にケージに入れるのも大変ですし、反対に、買い物に行く、仕事に行くなど長時間に渡ってケージの中に入れておくのもどうかと考えて、色々な試みをしてみました。
その結果、1番最良の方法が、私が部屋を出る、外出する度に、「〇〇に行って来るね」と言ってから出て行くことでした。しかしこの方法は一般的に、外出する際には特に『絶対にやってはいけない対応』になっているのではないでしょうか? しかし、ひなをはじめ、多くのワンちゃんには最適な対応方法になっています。
本に書いてあることが絶対!ではありません。また、どんな犬にも効果的なわけでもありません。犬の性格は様々です。10頭いれば、10頭が違う反応をします。もちろん共通するところはあります。同じ犬という動物という動物ですから! 根本(=犬という動物)は一緒であっても、咲かせる花の色(=個々の個性)に違いが出てきます。ウチの子はどんな色の花を咲かせているのかな?っと、観察してみてください。そして、それを見極めて対応してあげて欲しいと思います。
また、私の先生でもあるイギリス人ドッグトレーナー(攻撃行動のスペシャリスト)Angela Stockdaleに「犬に関する教科書(=知識)は机の上にあるのではなく、目の前にいる犬たちが教えてくれることだ。先生は犬たちであって、決して本ではない!」と言われたことがあります。まさしくその通りです! 何か困ったことが起きたら、まず、本ではなく、アナタのワンちゃんの行動を見てください。そしてご自身の行動・対応を振り返ってみてください。大抵そこに、解決へのヒントが隠れていると思います。
ということで、難しい話ばかりしてきたので、最後にリラックスして犬×犬、犬×猫、犬×人の会話を見てみてください。想像力を働かせて、それぞれの会話に吹き出しをつけてみてください(笑)