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- 犬と共に生きること ~仲間との別れ~
先日、私の犬友達でもあり、ひなの良き先輩でもあったダイナちゃんが旅立ちました。14歳。犬生の半分以上の年月を、心臓に問題を抱えながら最後までがんばって生き抜きました。(最後は)生前のダイナちゃんそのままに、 “美人さん” の とっても穏やかな顔で旅立っていきました。本当に若々しくてキレイな顔でした。この子は飼い主さんからいっぱい愛情を受け取って、飼い主さんのことをいっぱい愛して、飼い主さんと共にあった時間を楽しんで、自分の犬生を思いっきり生ききって、 “この時” を迎えたんだな・・・と感じました。
幸せだったね、ダイナちゃん
幸せだったね、ダイナちゃん
飼い主にとって、家族のメンバーでもあるワンちゃんがその生涯を終え、旅立つ姿を見送らなければならないことは辛い経験です。私も今までに3頭の愛犬を見送ってきました。どの子たちも、自分の腕に抱えて最後の瞬間を見送りました。それはとても辛い瞬間でした。それと同時に、感謝の気持ちでいっぱい(の瞬間)でした。「楽しい時間をありがとう」「いっぱい色々な経験をさせてくれてありがとう」「色々教えてくれてありがとう」「一緒にいてくれてありがとう」・・・ “ありがとう” がいっぱいでした。そして、旅立った犬たちの顔が穏やかであったのを見て、「この子たちも、私たち家族と一緒の時間を過ごせたことに満足していたのかな」と安堵する気持ちにもなりました。
獣医師として、私は犬たちが旅立っていく時に立ち会った経験も何度かあります。飼い主さんに愛され、十分に自分の犬生を生ききった子たちは、本当に穏やかな顔で旅立っていきました。独りで旅立たなければならなかった子は、やはりどこか寂しそうな顔をしていました。
ですから飼い主さんたちにお願いしたいのです。とても辛いかもしれません。でも、最後の瞬間は一緒にいてあげてください。旅立ちを見送ってあげてください。この “瞬間” は、犬たちから飼い主さんへの最後のメッセージだと思います。どうかそのメッセージを受け取ってあげてください。
ワンちゃんが旅立ってしまった後、多くの飼い主さんが少なからず後悔するのではないでしょうか。私も散々後悔しました。「あの選択は間違ってなかったのか」「自分の取った行動は、ちゃんとこの子のことを考えて取っていたのか」「無駄な苦しみを与えていたのではないか」・・・ 自分が考えた、ワンちゃんにとって最善の選択肢をしたとしても、どんなに最高の治療を受けさせたとしても、やはり後悔はするような気がします。それは、選ばなかった選択肢に “あとで” 可能性を見出してしまうからではないでしょうか。他方が良く見えてしまう。それは仕方の無いことです。その子のことを思えば思うほど、後悔するのかもしれません。また “別れの準備” ができていなければいないほど、後悔するのかもしれません。
しかし、後悔することは決して悪いことではない...と、私は思っています。どのくらい深い後悔をするのかは、人それぞれです。
ただ、これだけは忘れないでください。飼い主さんの選択は、“その時” 飼い主さんが、ワンちゃんにとって『最善だ』と思って選択したものです。それは人それぞれです。どの選択が正しくて、どれが正しくなかった・・・とは言えないのです。その選択は飼い主さんとワンちゃんが、共に歩んできた歳月から導き出した答えです。どんなに後悔したとしても、最後は、その選択がワンちゃんにとって『最善であった』と受け入れてください。ワンちゃんたちもきっとそれを望んでいます。
ワンちゃんが旅立ってしまった悲しさ、そして後悔。またその反面、安堵感を感じる飼い主さんもいるのではないでしょうか。しかし、時に この安堵感は、飼い主さんを悩ませる原因の一つになるのではないでしょうか。私もその一人です。「感じてはいけない感覚ではないのか」「自分は犬のことをしっかり愛していたのか」... 自分がそうだからというわけではありませんが、悲しさと共に感じられる安堵感は、その子としっかり向き合って暮らしてきたからこその感覚だと思います。
もし、この悩みを一人で抱えきれなくなったら、生前のワンちゃんを知っているお友達とワンちゃんのお話をしてみてください。お友達は聞いてあげてください。その時間が、どれだけ飼い主さんの “前に進もうとする力” になるか、、、 もし近くに話ができる方がいらっしゃらない、もしくは難しい時は、いくつか支援団体(例:ペット・ラヴァーズ・ミーティングetc)があります。一人で抱え込まず、話をしてみてください。
そして飼い主さんには、 最後の瞬間までワンちゃんの最良の仲間であって欲しい と思います。
最後に、ダイナちゃん、色々ありがとう
会えて良かったよぉ~ 楽しかったよぉ~
またいつか会おうね
ちょっとしたお知らせ
最近、犬たち、猫たちの命、人との関わりについて取り上げたドキュメンタリー映画を観ました。実はちょっと出演したりしています。映画では『事実』『現実』の一端が垣間見られます。もし機会がれば、この映画をご覧になって、犬と猫と人間の関り方をもう一度考えて頂ければと思います。
「犬と猫と人間と」 飯田基晴監督